2010/06/11

猫とびわとピストルズ


P6113567, originally uploaded by torapoohus.




P6113562, originally uploaded by torapoohus.




P6113551, originally uploaded by torapoohus.



ひさびさに真剣に読んでいる本。
阿部和重のピストルズ。びわとこの本は不思議なくらい、よく合う。
家の血と因縁。びわはアプリコットでも桃でもなく、マンダリンでもない。
びわはびわ。けして明るいイメージがパーッと湧き出る実ではない。
実家の本家の庭に大きなびわの木があって、収穫するのが習わしになってきた。
私のトラウマを知ってか知らずか、夫はびわが大嫌い。
びわを食べさせようとすると彼にしては珍しい小声で「び、びわは嫌い…」と抵抗される。

一人暮らしの大学時代に段ボールにつめられたびわをろくに受け取らず
半分以上腐ったびわがびっちり詰まったまま、実家に箱が舞い戻るという事件があった。
いや、記憶違い。宅配会社から多分腐りかけていると、実家に電話が入ったのだった。
亡き祖父に電話口で怒鳴りちらされて、しばらくずっと耳鳴りがしていた。


今年は豊作で大ぶりのびわがこれまた段ボール箱にびっしり。
箱詰めびわ歴13年目にして、はじめてびわパイという形でポジティブに
昇華できたように思う。パイにすることで現代的になり、しかもなかなか美味しい。
材料はパイシートと砂糖、レモン汁のみ。
味はアプリコットとそっくり。でもアプリコットよりやさしい甘さ。
やさしければいいというものではない。つかみどころのない甘さ。
ピストルズでいうところの芳香は私にとってこの香り。

阿部和重もtwitterの模様です。